出産手当金の金額計算ツール&計算方法からお得な裏技まで徹底解説♪

産前産後休業(産休)は、出産前・後の母子の健康のために欠かせない休業です。
ですが、休業中は無給の会社がほとんどです。
そうなると、その間のお金のことが気になりますよね^^!
出産手当金がもらえると聞いたけど、いくらもらえるの?いつ支給されるの?
前もって分かっていると安心です。
今回は、出産手当金の支給条件や金額の計算方法、また申請期間や支給日についても徹底的に解説します。
出産手当金をお得にもらう裏技も紹介しますね♪
出産手当金 金額計算ツール
出産手当金の金額を計算するツールとして簡易Ver.と詳細Ver.を用意しました。
簡易Ver.は、あなたの1ヶ月のおおよその給与額(残業代等含む、通勤手当も1ヵ月分加算)を入力して「計算する」ボタンをクリックするだけで、出産手当金の目安金額が分かります。
もっと厳密に計算したい方は、次の詳細Ver.をご利用ください。
休業日数や、実際の出産手当金の計算方法と同じ標準報酬月額を使って計算します。
≫ 出産手当金 計算ツール詳細Ver.(続きを開く)
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「正確な休業日数なんて分からない」
「標準報酬月額って何?」
という方も安心してください^^
この記事で分かりやすくかつ徹底的に解説します!
計算方法やルールを理解することで、賢くお得に出産手当金を受け取ることができます。
「知らなくて損した!」
そんなことが無いように、じっくりとご覧ください。
出産手当金とは
出産手当金とは、産前産後休業期間(産休)中の生活保障として健康保険等から支給される給付金です。
産前産後休業は労働基準法に定められた休業期間で、産前6週間(双子以上の場合14週間)、産後休業8週間となります。
産後休業は必ず取得しなければいけない休業です。
ただし、出産日翌日から6週間経過し医師の許可があれば就業可能です。
この産前産後休業期間中に、出産のために会社を休み給料が受けられない日数分「出産手当金」が支給されます。
なお、産前休業期間は出産日を基準として計算されますが、出産日が出産予定日より遅れた場合は、出産予定日の6週間前から出産日までが産前休業になります。
▼産前産後休業について詳しくはこちらをご覧ください。
出産手当金の支給条件
産前産後休業は働いている女性なら誰でも取得できますが、出産手当金の支給にはいくつか条件があります。
- 妊娠4ヵ月(85日)以降の出産であること(産前産後休業の条件と同じ)
出産には、早産や流産、死産、中絶も含みます。
- 会社の健康保険に加入していること
ご自身が勤める会社の健康保険、共済組合等に加入していることが必要です。
家族の健康保険の扶養になっている人や、国民健康保険に加入している人は含みません。また、職場の健康保険が〇〇国民健康保険組合といった職域国保の場合、出産手当金が支給されるところは一部です。
- 産前産後休業の対象期間中に会社を休んでいること
なお、会社を休んだ日について給料が出ている場合は、その金額分出産手当金が減額されます。
(給料が出産手当金の額を超える場合はその日について支給無し)
出産手当金の退職後支給
退職すると会社の健康保険からも脱退しますので、原則出産手当金の支給はありません。
しかし、次の条件を満たす場合は「資格喪失後の継続給付」として退職後についても出産手当金が支給されます。
- 現在の会社で1年以上継続して健康保険に加入していること
- 退職日が出産予定日の6週間(双子以上の場合は14週間)前以降であること
- 退職日に休んでいること
退職日は有給休暇でもOKですが、1時間でも就労すると「資格喪失後の継続給付」の対象となりませんので注意してください。
出産手当金と出産育児一時金の違い
出産に伴い健康保険等から支給される給付金には「出産育児一時金」もあります。
出産手当金と出産育児一時金を混同されている方もいらっしゃいますが、二つの給付は完全に別です。
出産手当金は働いている人が出産で休んだ場合の生活保障としての給付金ですが、出産育児一時金は出産費用の補助として支給される給付金です。
したがって、出産手当金が出ない人(家族の扶養になっている人、国民健康保険に加入している人)も出産育児一時金は支給されます。
出産手当金はいくらもらえる?金額の計算方法
さて、一番気になるのは出産手当金がいくらもらえるのか?ということですね。
出産手当金の給付額の計算式は
【支給開始月を含む直近の12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額】×【産前産後休期間中に出産のために仕事を休み給料を受けられなかった日数】です。
ややこしいですね^^
簡単に図示すると次のようになります。
それぞれ分解して解説します。
- 支給開始月(を含む直近の12ヵ月間)
支給開始月とは出産手当金が支開始給されることとなった日の月のことです。具体的には、産前休業期間内に次のどちらかの条件を満たした最初の日の属する月となります。
・出産のために仕事を休み、給料が支払われなかった日
・出産のために仕事を休み、一部給料が支払われたがその金額が出産手当金の1日分の金額未満の日出産日まで働いていた場合は、出産日の翌日(=産後休業開始日)の月です。
ただし、産後休業について出産手当金の額以上の給料が出ている場合を除くまずは、支給開始月を含め過去12ヵ月間の標準報酬月額の平均を求める必要があります。
- 標準報酬月額
毎月の給料から引かれている健康保険料や厚生年金保険料を計算する基礎となる金額です。
原則、4月から6月の3ヵ月間の給料の平均額を等級表に当てはめたものです。会社によっては給料明細に記載されているところもあります。
もしくは、会社の担当者に聞くのが一番早いですね^^▼標準報酬月額について詳しくはこちらをご覧ください。標準報酬月額の調べ方も詳しく解説しています。
- 30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額
平均標準報酬月額を30で割ることで、標準報酬日額を求めます。
その標準報酬日額の「3分の2」が1日当たりの出産手当金の額となります。
- 出産のために仕事を休み給料を受けられなかった日
産前産後休業期間中の就労しなかった日が出産手当金の支給対象日となります。ただし、有給休暇や会社規定により一部給料が出ている場合は、その給料分出産手当金が減額されます。
*出産手当金の額を超える場合はその日について支給無し。
出産手当金の計算例
産前休業42日間、産後休業56日間の合計98日間、産休で休み給料が出なかったとします。
- 支給開始月以前12ヵ月間の標準報酬月額の平均を計算
- 1日当たりの出産手当金日額 = 215,000 ÷ 30 × 2/3 = 4,780円
*標準報酬月額の平均を求める時点では端数処理無し。30で割った時点で10円未満四捨五入。3分の2を掛けた時点で1円未満四捨五入。
- 出産手当金の支給額 = 4,780 × 98日 = 468,440円
平均標準報酬月額に対する出産手当金の額は次のようになります。
平均標準報酬月額 | 出産手当金の額 | ||
---|---|---|---|
1日分 | 30日分 | 98日分 | |
100,000円 | 2,220円 | 66,600円 | 217,560円 |
150,000円 | 3,333円 | 99,900円 | 326,634円 |
200,000円 | 4,447円 | 133,410円 | 435,806円 |
250,000円 | 5,553円 | 166,590円 | 544,194円 |
300,000円 | 6,667円 | 200,010円 | 653,366円 |
350,000円 | 7,780円 | 233,400円 | 762,440円 |
400,000円 | 8,887円 | 266,610円 | 870,926円 |
支給開始日以前の健康保険加入期間が12ヵ月に満たない場合
支給開始日の月以前に現在の健康保険の加入期間が12ヵ月に満たない場合は、次の金額のうち低い金額を使用して計算します。
通勤手当も一部支給された給与に含まれます
休んだ日について一部給与が出ている場合、その金額分出産手当金が減額されるとお伝えしましたが、一部給与には通勤手当も含まれます。
具体的には、通勤手当が定期代として支給されている場合で、休業した日数に対して日割り清算を行っていない(行えない)場合等に定期代の1日相当分が一部給与として減額されます。
出産手当金支給申請書の提出期間は?いつもらえる
「出産手当金支給申請書」は産前休業期間・産後休業期間等に分けて申請も可能ですが、健康保険組合等によっては産後休業期間終了後に申請するようになっているところもあります。
実際には、出産手当金支給申請書には会社の証明・医師等の証明が必要になってきますので、産前産後休業期間合せて1回で申請する人が多いです。
(医師等の証明は出産後一度証明をもらえば以後の申請では不要です)
したがって、申請自体が産後休業終了(出産翌日から8週間)後となりますので、必然支給はそれよりも遅くなります。
では、産後休業終了後にすぐに支給されるのか?というとそうではありません。
産後休業終了後2ヵ月くらいかかる場合もあります。
お伝えしたとおり出産手当金の支給条件は産前産後休業期間中に会社を休み、かつ、給料が出なかった日です。
つまり、休業期間の勤怠にかかる給料の額が確定しないことには支給手続きが開始されません。
例えば産後休業の終了日が1日だった場合、支給手続きのタイミングは次のようになります。
会社や健康保険組合等によってはもっと早く手続きを進めるところもありますが、一方で出産手当金申請書に出勤簿や賃金台帳コピーといった添付書類を必要とするところもあります。
産後休業期間に係る給料確定後に、会社での手続き、健康保険組合等での手続き、また給付金を本人直接でなく会社経由で支払うところもあります。
出産手当金の支給は、産後休業終了日の勤怠に係る給料日後1ヶ月程度かかると考えておけば良いでしょう。
<裏技>出産手当金と傷病手当金は重複してもらえる?
切迫早産等で会社を休んだ場合は、休んだ日について傷病手当金が支給されます。
ただし、出産手当金と傷病手当金は共に健康保険から支給される生活保障のための給付金ですので重複して支払われることはありません。
*先に傷病手当金が支給されている場合は出産手当金の内払い金とみなされます。
ですが、出産手当金の額が傷病手当金の額より少ない場合はその差額が支払われることとなっています。
例えば、切迫早産で休んでいた場合、産前休業期間に入っても切迫早産で労務不能の場合が多いでしょう。
その場合、産前休業期間からは原則出産手当金が支給されますが、それまでの傷病手当金より金額が少ない場合は「傷病手当金支給申請書」も提出することにより差額が支給されます。
傷病手当金の1日当たりの支給額の計算方法は出産手当金と同じです。
ですが、それぞれの支給開始月が異なるので平均標準報酬月額の金額も違ってきます。
傷病手当金の1日当たりの金額の方が多い場合は、忘れずに傷病手当金の支給申請も行いましょう。
計算するのが面倒くさい場合は、遅くなりますが出産手当金の支給通知書が届いてから比べても良いですね。
傷病手当金の請求期限は2年間です
もしくは、切迫早産で労務不能の期間(正期産の前日まで)すべて傷病手当金を申請しておいて、産後休業終了後に産前産後休業期間すべての出産手当金を請求しても良いですね。
そうすれば傷病手当金として申請した期間分については早くもらえますし、出産手当金と傷病手当金それぞれの1日分の金額を比べる必要もありません。
<裏技>出産手当金と育児休業給付金が併給される?
出産手当金と育児休業給付金が同一期間に対して併給されることがあるってご存知ですか?
男性が育児休業を取得する場合
女性が産後休業期間中に、男性が育児休業を取得していれば、女性側は出産手当金が、男性側は育児休業給付金が受けられることになります。
前の子の育児休業中に出産した場合
出産手当金は産前産後休業期間中に会社を休んでいることが支給条件です。
それに対し、育児休業給付金は「育児休業」として休んでいることが条件となります。
また、産前休業は本人から申請により取得できる休業ですので、産前休業を取得するか育児休業を続けるかは本人の任意となります。
つまり、出産日まで前の子の育児休業として休むことで、出産手当金の支給条件も、育児休業給付金の支給条件も両方満たすことになります。
*産後休業は本人の意思に関わらず強制的な休業です。
雇用保険から給付される育児休業給付金と、健康保険等から給付される出産手当金を併給調整する法律は現在のところありませんので、両方の給付金がフルに受け取れるということになります。
<裏技>1日分でも出産手当金を多くもらうためのテクニック
出産手当金は、会社を休み給料が出ていない日について支給されます。
会社を休んだ日には土日祝等の公休日も含まれます。
したがって、公休日や休暇等の休みが産前休業と連続するうように取得すれば、その公休日や休暇等の日が出産手当金の支給対象になる場合があります。
また、出産予定日と出産日が前後することは多くありますね。
出産予定日より早く産まれた場合に1日分でも得するよう対策しておくことも良いでしょう。
出産手当金は産前産後休業の対象期間中に、出産のために休んでいることが条件です。
これは「産休」として休んでいることが必要なのではなく、産前であれば出産まで連続して休んでいることです。
有給か無給かは関係ありません。
休んだ日について給料が出ている場合は、その分減額(出産手当金を上回る場合は支給無し)
なお、出産手当金申請書には「出産のため休んだ期間」の記入欄がありますが、土日等公休日も含め産前産後期間中に最初に休んだ日から記入することに注意してください。
まとめ
出産手当金の金額や、支給日について目途はたちましたでしょうか?
会社の担当者に相談して、言われたとおりにしていても問題なく支給はされます。
ですが、少しでも損しないように、お得に出産手当金をもらうためにはご自身で能動的に動かないといけない部分もあります。
少し難しい部分や、そもそもタイミングが必要な部分もありますが、制度を理解し、賢くそしてお得に出産手当金をもらってくださいね♪
▼こちらの記事では、出産手当金の金額計算に必要な標準報酬月額の計算方法や調べ方以外に、出産育児に関連する制度を賢く活用する裏技も紹介しています。
▼こちらの記事では、産前産後休業(産休)に関する詳しい解説と、出産手当金とは違うポイントからのお得な裏技を紹介しています。