社会保険料の標準報酬月額とことん解説!簡単計算ツール&お得な裏技

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標準報酬月額はいつ変わるの?

標準報酬月額 変更時期

さて、標準報酬額の決定・改定の方法をお伝えしましたが、では決定・改定された標準報酬月額はいつから適用されて、社会保険料が変わるのでしょう?

  • 資格取得時決定 ⇒ 当月分保険料から
  • 定時決定 ⇒ 9月分保険料から
  • 改定 ⇒ 平均給与額計算の対象となる3ヵ月の翌月分保険料から
    *改定とは随時改定、産前産後休業終了時改定、育児休業等終了時改定

定時決定の場合だけ、変更される月が遅いです。

定時決定の計算対象となる4月から6月に、固定的賃金の変動があり随時改定の対象となった場合、随時改定が優先されます。

図示すると次のようになります。
仕組み的にも定時決定で7月に変更して、またすぐに随時改定で8月や9月に変更になるのを避けているのでしょう。

社会保険料の変更時期

つまり、定時決定は年1回ですので、改定の対象とならなければ毎年9月分保険料の標準報酬月額が翌年の8月分保険料まで適用されます。

保険料率が変わらなければ、社会保険料はその間ずっと同額と言うことです。

定時決定では必ず標準報酬月額が変わるわけでなく、計算の結果それまでの標準報酬月額と変わらないケースもあります。

社会保険料は翌月引き

定時決定では9月分保険料から新しい標準報酬月額が適用されますが、9月分保険料が引かれるのは10月支給の給与です。

社会保険料は翌月引きがルールなのです。

ですから、入社した月に支給された給与からは社会保険料は引かれていなかったのです。
覚えている人はいないと思いますが・・・。

そのかわり、退職月には社会保険料を2ヵ月分引くこととなります。

標準報酬月額の計算対象となる給与の範囲は?

標準報酬月額の計算対象となる給与の範囲は?

社会保険料の計算対象となる給与は、名称にかかわらず労務の対価として受ける金銭や現物支給すべて含まれます。

家族手当や日直・宿直手当、勤務地手当、住宅手当の他、所得税では非課税の通勤手当も含まれます。

現物支給には、通勤定期券や社員が一定額以上を負担していない食事、社宅等があります。

なお、通勤手当が3ヵ月・6ヵ月定期代など場合は、支給月に関わらず1ヵ月分に割り戻して計算されます。

対象となる給与・対象とならない給与の具体例

対象となる給与
金銭によるもの 基本給(月給・週給・日給など)、能率給、残業手当、勤務手当、役付手当、精勤手当、家族手当、日直手当、宿直手当、勤務地手当、通勤手当、住宅手当、賞与(年4回以上)など
現物によるもの 通勤定期券、回数券、被服(勤務服でないもの)、食券・食事、社宅・寮など
対象とならない給与
金銭によるもの 賞与・決算手当(年3回以下)、大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職金、旅費交通費、交際費、慶弔費、年金、保険給付費、利子、配当金など
現物によるもの 制服・作業衣、見舞品、生産施設の一部である住宅など

ボーナスは別として、慶弔金や実費弁済である旅費交通費、交際費以外、ほぼすべてが含まれるということです。

*ボーナスの社会保険料計算方法については後ほど説明します。

(コラム5)通勤手当が含まれるのが納得いかない!

「給料はあの人と変わらないのに、通勤手当が高いからって社会保険料が高くなるのは納得いかない!不公平!!!」

良く言われます( ;∀;)

≫ このコラムを読む(続きを開く)

(ここから「続き」です)
厚生労働省で「通勤手当が社会保険料の算定基礎額に含まれるのはどうだろう」ということで検討会が開かれたこともあります。

参考:厚生労働省:社会保険料・労働保険料の賦課対象となる報酬等の範囲に関する検討会(2012.9)

結局結論は出ず、現在では検討を行う予定もないということです。

参考:参議院:通勤手当の非課税限度額の引上げに関する再質問主意書(H28.4.15)
*質問・回答の中で社会保険料における通勤手当にも言及されています。

理由としては、

  • 通勤手当の支給について法律上の義務はないので、通勤手当が支給されていない企業もある。
    したがって、社会全体で見た場合一概に不公平とは言えない。
    (上の検討会資料中、企業規模29人以下の企業では30.3%が不支給)

    *会社規模に関わらず派遣社員では通勤手当が出ていない人も多いですね。

  • 通勤手当を社会保険料の算定基礎額から外した場合、収入確保のために保険料率を上げる必要がある。
    しかし、通勤手当の支給状況(大企業ほど支給率が高い)から、社会保険料の負担が零細企業に移転することになる。

要するにこういうことです。
標準報酬月額と通勤手当

改定すると、通勤手当を支給しない・出来ない零細企業、および、そこで働く人の負担がより大きくなるということですね。

また、政府としても保険料率を上げるというマイナスインパクトは、出来るだけ避けたいところでしょう。

まあ、そういうルールだということですね。

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ボーナスの社会保険料はどうやって計算するの?

ボーナスからも社会保険料は天引きされます。
ボーナスの社会保険料は標準報酬月額でなく、標準賞与額に保険料率をかけて計算されます。

標準賞与額はボーナスの金額から1,000円未満を切り捨てした金額です。(上限額あり)

また、毎月の給与から引かれる社会保険料は、前月分の保険料ですが、ボーナスについては支給月分の保険料として引かれます。←この部分、次のコラムに繋がります^^

(コラム6)社会保険料に日割りはありません

社会保険料は日割り計算をしません。

では、月の途中で入社したり退職した場合の保険料はどうなるのか?

≫ 退職予定の人は知っておくと得するかも^^?(続きを開く)

(ここから「続き」です)
社会保険の資格そのものは退職日の翌日に喪失します。
(退職日の翌日は次の健康保険の資格取得日でもあります)

具体的には、月末かどうかに関わらず退職日に「健康保険証」を返還し、もしも退職翌日に病院に行く場合は、次に加入する健康保険の保険証を持参することになります。
(資格は取得しますが、保険証の発行手続きは間に合わない場合もあるので注意しましょう。)

しかし、社会保険料には日割りはありません。
その月の保険料は、月末に加入しているところに1ヵ月分を支払うことになります。

つまり月末退職であれば、退職月分の社会保険料が発生しますが、それ以外の日の退職であれば、退職月の社会保険料は次に加入するところに支払うこととなります。

具体的には、退職月月末までに次の会社に入社すれば次の会社の健康保険+厚生年金、そうでなければ国民健康保険+国民年金、または、旦那さんや家族の被扶養者となるなら保険料は不要となります。

退職月に支給されたボーナスの社会保険料はどうなるの?

ボーナスから引かれる社会保険料は、当月分の保険料です。

したがって、月末退職の場合は退職月分の保険料が発生しますので社会保険料が引かれますが、月末以外の退職の場合はその会社での退職月分の保険料は発生しませんので、社会保険料が引かれないということになります。

ボーナスが多い人は社会保険料も高いので、一考の価値はありますね^^

しかし、保険料を支払わないということは、もちろん将来の年金がその分減ることになります。
まあ、ボーナス1回分の保険料が将来の年金額に与える影響は、年額で数百円になるかどうかというところでしょうが。。

それよりも、会社の給与規則や退職金規則などを確認し、不利になる点がないかはしっかりと確認してくださいね。

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<裏技>社会保険料を安くする3つの方法!

健康保険料を安くする

ここまで標準報酬月額の計算方法・決定方法を一通りお伝えしてきました。

それらの仕組みを活用し社会保険料を安くする方法をお伝えしていきます。

社会保険料を安くする=標準報酬月額を低くするということです。

と、その前にここまでの内容で思い出してほしい内容をおさらいしておきますね^^

  • 標準報酬月額は原則年1回、4月から6月の給与の平均額から計算します。
    これを「定時決定」と言います。
     
  • 昇給等で基本給などの固定的賃金が変更になった場合は、変更になった月を含め3ヵ月間の給与の平均額で標準報酬月額を計算しなおします。
    これを「随時改定」と言います。

    *定時決定と随時改定が重なった場合は、随時改定が優先されます。

  • 産後休業や育児休業の終了後に、終了後3ヵ月間の平均給与額で標準報酬月額を変更できます。
    これを「産前産後休業終了時改定」「育児休業等終了時改定」と言います。
     
  • いずれも3ヵ月間の平均給与額から計算しますが、例えば病気でずっと休んでいてほとんど給与が支払われていない月などは除いて計算します。
    具体的には、給与の支払い対象となった日数が17日以上の給与だけで計算します。

    この給与の支払い対象となった日数を「支払基礎日数」と言います。

そんな言葉もあったな~程度で大丈夫ですよ^^

社会保険料を安くする方法には、本人からの申し出が必要なものもあります。

会社の担当者がフォローしてくれるとは思いますが、フォロー漏れ、また、そもそも担当者が知らなかったなどで、制度を利用できなかったという事例も実際に報告されています。

概要さえ知っておけば、必要な時にご自身で詳細を調べたり、担当者に聞くこともできます。
方法や制度そのものを知らなければ、どうしようもありませんので(-_-;)

①4月から6月の給与をなるべく低くする

毎年1回、4月から6月の給与の平均額で定時決定を行い、標準報酬月額が決定されます。
4月昇給であれば、随時改定の計算対象月も4月から6月ですね。

随時改定は、現在の標準報酬等級と比べ2等級以上の差があり、計算対象となる3ヵ月間の支払基礎日数がすべて17日以上の場合のみ対象です。

注意点は、4月から6月に支払われた給与で計算されるということです。

3月に行った残業であっても、その残業代が4月給与で支払われるなら影響しますし、逆に6月の残業代が7月給与で支払われるなら影響しません。

通勤手当について6ヵ月定期代などまとめて支払われている場合は、支払い月に関わらず平均給与額に1ヵ月分が計上されます。

もちろん、4月から6月の給与を低くするために仕事が遅れるのでは本末転倒です。
評価を悪くして、昇給やボーナスが減ることにも繋がりかねません。

  • 仕事をやりくりし、出来る範囲でずらせるものをずらす
  • 休日出勤をしたなら、なるべく6月給与の勤怠期間までに代休を取る

ということを意識しましょう。

もし、傷病欠勤など給与控除の対象となる欠勤がある場合は、可能であれば支払基礎日数が17日になることを意識してください。

(短時間就労者で3ヵ月とも支払基礎日数が17日に満たない場合は15日、短時間労働者は11日になります)

そうすれば、欠勤控除で低くなった給与額が、平均給与額の計算対象となります。

算定基礎と支払い基礎日数

昇給等で固定的賃金が上がっても、計算の対象となる3ヵ月の給与が低ければ標準報酬月額は低くなります。

月変と支払い基礎日数

②保険者算定できないか検討しよう

通常の計算では正しく標準報酬月額が計算できない場合に、正しい額になるよう調整を行います。
これを保険者算定(保険者決定)と言います。

毎年4月から6月の給料が必ず多いという方は検討してください。

≫ 保険者算定の詳細を読む(続きを開く)

(ここから「続き」です)
具体的には
  • 低額の休職給を受けた場合、ストライキによる賃金カットがあった場合 ⇒ 休職給を受けた月、賃金カットがあった月を除いて算定(3ヵ月とも該当する場合は現在の標準報酬月額で決定)
     
  • 遅配や、昇給の遡及支給があった場合 ⇒ 通常受けるべき金額で標準報酬月額を決定
     
  • 4月から6月の給与の支払基礎日数が3ヵ月とも17日(短期就労者の場合15日、短期労働者の場合11日)未満の場合 ⇒ 現在の標準報酬月額にて決定
     

これ以外に、業務性質上の季節的な変動により、通常の算定方法では著しく不当な標準報酬月額になる場合に過去1年間の平均給与額にて標準報酬月額を算定することができます。

この保険者算定を行う条件は、

  • 業種または職種の性質により、毎年4月から6月の給与が他の月と著しく変動すること
  • 4月から6月の平均給与額から算定される標準報酬月額と、前年7月から6月の平均給与額から算定される標準報酬月額との間に2等級以上の差があること
  • 4月から6月の固定的賃金変更に伴う随時改定に該当しないこと
  • 本人が保険者算定の適用に同意していること

毎年季節的変動が起こることが明らかな場合だけですが、もし該当すると思われるなら担当者に相談してみると良いでしょう。

具体的な事例としては次のようなものがありますが、他にも様々な業種が該当します。

4月~6月が繁忙期になる業種
  • 4月~6月の時期に収穫期を迎える農産物の加工の業種
  • 夏に売り上げが上昇する商品の製造が4月~6月に増加する業種
  • ビルメンテナンス等が年度末(3月~5月)に集中する清掃・設備点検の業種
  • 4月の転勤、入社、入学に合わせて業務が増加する引越し、不動産、学生服販売等の業種
4月~6月が繁忙期になる部署
  • 業種を問わず、人事異動や決算のため4月時期が繁忙期になり残業代が増加する総務、会計等の部署
4月~6月の給与平均が年間の給与平均よりも低くなる業種
  • 冬季に限定される杜氏、寒天製作業、測量関係等の業種
  • 夏・冬季に繁忙期を迎えるホテル等の業種
この保険者算定、実は4月に昇給がある人は毎年は利用できないです。

というのも、定時決定のときのみの適用で、随時改定には適用されないから。

一度、保険者算定で標準報酬月額が低くなっても、次の年には4月に昇給がある4~6月の平均給与額が2等級以上あがる可能性が高いからです。

つまり、随時改定に該当するので、次の年には保険者算定は利用できないことになるんですね。

総務省が、「定時決定だけでなく随時改定の場合も、公平に過去1年間の平均給与額で決定できるよう見直すべき」と厚労省にあっせんを行っています。

参考:総務省:標準報酬月額の決定における報酬月額の算定の特例の見直し(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-(H29.3.24)

ですが、厚労省は随時改定は固定的賃金が変わったことを踏まえて標準報酬月額を適正な額にするための制度だから、過去1年間の平均給与額で計算するのは趣旨に合わない。

という意見ですので、このままでしょう・・・。

まあ、1年ごとに随時改定に該当しなければ活用するというスタンスが良いでしょう。

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③産前産後休業終了時改定、育児休業等終了時改定を忘れずに!

産後休業や育児休業を終了し職場復帰しても、すぐに休業前のようにバリバリ働くのは難しいですよね。

小さいお子さんがいるので、残業や休日出勤などの融通もききにくいですし、短時間勤務をする人も多いです。

そうすると、おのずと給与も少なくなります。
そこで、実態に合わせた社会保険料に変更するための改定制度です。

産後休業終了後(職場復帰する場合)、または、育児休業終了後に、終了日の翌日の月から3ヵ月の平均給与額で標準報酬月額を改定できます。

改定の条件は

  • 3ヵ月間のうち最低1ヵ月は、支払基礎日数17日以上の給与があること
    (短時間就労者の場合は15日、短時間労働者の場合は11日)
  • 現在の標準報酬月額と1等級以上差があること
  • 本人から申し出があること

育児休業等終了時改定

注意するポイント

  • 休業終了日の翌日の月から3ヵ月間に支払われた給与が対象です。
    勤怠が給与に反映されるのは、ずれるので注意しましょう。

    上図の下から2つ目の例は、6月20日に休業終了し、かつ7月の欠勤が多かった場合です。
    8月給与の支払基礎日数が17日に満たず改定の対象外となっています。

  • 定時決定や随時改定と異なり、この改定は本人からの申し出により適用されます。

    届け出は会社経由であり、担当者がフォローしてくれるとは思いますが、ご自身でも忘れずに覚えておきましょう。

この改定、標準報酬月額を下げるためだけでなく、上げることもできます。

実際に本人から申し出があり、上げたこともあります。

詳しくは最後の章『<裏技>健康保険料をあえて高くする!』をご覧ください。
納得できると思いますよ(^^♪

(コラム7)「養育期間標準報酬月額特例申出書」の提出も忘れずに!

『養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置』を受けるための申出書です。

例に漏れず長い名前ですね^^

≫ 出産予定の人、3歳未満のお子さんがいる人(男女問わず)は知らないと損するかも(続きを開く)

(ここから「続き」です)
内容的には、子供が小さいと養育のために残業が出来なかったり、短時間勤務だったりで給与が減りますよね。

それに応じて社会保険料も減りますが、社会保険料が減るということは将来受け取る厚生年金の受給額も減るということになります。

そこで、保険料は安くするけど、将来年金額を計算するときは子供が産まれる前と同じ保険料を支払ったとみなして計算してあげましょう。という特例です。

適用の条件は3つです。

  • 子供が3歳未満
  • 子供が産まれる前の標準報酬月額より1等級以上さがること
  • 本人からの申し出があること

女性だけでなく男性もOKです。
給与が下がった理由も問われません。

また、申出書を提出しても、標準報酬月額が子供が産まれる前より低くならなければ適用されませんし、将来的に低くなればその時に自動的に適用されます。

ですから、子供が産まれたらとりあえず出しておくというのも良いですね。
*添付書類として、戸籍謄本と住民票が必要です。

1点注意点として、産前産後休業や育児休業で社会保険料が免除になると、特例適用が解除されてしまいます。

通常は育児休業終了後に提出すればよいですが、男性が育児休業を取る場合や、育児休業終了後すぐに次の子供の産前休業に入る予定がある場合は、注意しましょう。

特例が解除されても、休業終了後に再度申出書を提出すれば適用されます。

とりあえず申出書を提出しておく、もしくは標準報酬月額が下がった時に会社の担当者に相談すれば良いでしょう。(提出は会社経由です)

養育期間標準報酬月額特例申出書

≫ 続きを閉じる

標準報酬月額が低いデメリットを理解しておきましょう

標準報酬月額が低いデメリット

社会保険料を安くする方法をお伝えしましたが、「社会保険料を安くする=標準報酬月額を低くする」ことにはデメリットもあります。

リスクもしっかりと理解したうえで、社会保険料を安くしましょう。

デメリットは、保険料を安くすれば各種給付金も安くなる点です。

健康保険では、生活保障給付である出産手当金傷病手当金が安くなります。

出産手当金、傷病手当金は、給付の開始の日以前12ヵ月間の標準報酬月額の平均をもとに給付額が計算されます。

出産手当金とは、産前産後休業期間中の生活保障として健康保険から給付される給付金です。
出産育児一時金とは別です。

また、育児休業期間中に給付される育児休業給付金は雇用保険からの支給ですので、標準報酬月額は関係ありません。

病院での診療費3割負担や、実費補填給付である高額療養費等の給付額は変わりません。

未就学児および70歳以上(収入が高い人を除く)の人は、診療費の自己負担額は2割です。

高額療養費とは、月の医療費が一定額を超えた場合に、その超えた金額を払い戻してくれる給付金です。

一方、厚生年金では、将来の老齢厚生年金がそれまでの標準報酬月額と、保険料を納めてきた月数で計算されます。
万が一の障害厚生年金、遺族厚生年金の計算にも標準報酬月額が関係します。
(その他、ボーナスから引かれた社会保険料も計算に使われます)

まあ、予定できる出産手当金はともかく、かなり先の老齢年金や、万が一の傷病手当金等を心配するよりも、目先の社会保険料を安くする方が良いと私は思います^^

<裏技>社会保険料をあえて高くする!

先に結論からお伝えすると、妊娠が判明したらすぐに標準報酬月額が決定・改定されるタイミングを確認し、出来るだけ社会保険料を高くしましょう!ということです。

出産・育児に関する健康保険、厚生年金の制度はとても充実しています。
これらのメリットを最大限に活用しましょう。

具体的な制度は次の5つです。

  • 出産手当金の支給
  • 産前産後休業期間中の保険料免除
  • 育児休業期間中の保険料免除
  • 養育期間標準報酬月額特例
  • 育児休業等終了時改定

少~し詳しく説明します。(概要は下の図をご覧ください)

  • 出産手当金
    出産手当金は、支給開始月を含む直近の12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額に休業日数を掛けた金額となります。

    支給開始月とは、実際に産前休業を開始した月と考えてもらってOkです。

    厳密には、出産日もしくは出産予定日のどちらか早い日以前42日間(多胎の場合は98日間)で、妊娠・出産のために会社を休みお給料が無かった最も早い日が属する月です。

    つまり、出産予定日の42日前から産前休業を取得したとしても、予定日より早く出産した場合は産前期間もその分早くなります。

    ですが生活保障給付である出産手当金は、給与が出た日については支給されませんので、産前期間の開始日に関わらず実際に休業を開始した日が支給開始日になるということです。

  • 社会保険料免除
    産前産後期間中、および育児休業期間中は社会保険料が免除になります。

    免除になる月は、休業開始日が属する月分から、休業終了日の翌日の属する月の前月分までです。

    つまり、休業終了日が月末であればその月まで、それ以外は終了日の前月まで社会保険料が免除になります。
    (例:終了日6/15の場合 → 翌日6/16 ⇒ 前月5月、終了日6/30の場合 → 翌日7/1 ⇒ 前月6月)

    なお、社会保険料は翌月引きですので、給与から保険料が天引きされないのは休業開始日の翌月から、休業終了日の月までとなります(終了日が月末の場合は休業終了月の翌月まで)。

  • 養育期間標準報酬月額特例
    子供が3歳までの各月に標準報酬月額が、出産日の前月の標準報酬月額より下がった場合、社会保険料は下がった標準報酬月額をもとに計算されますが、将来年金を受け取る時は出産日前月の標準報酬月額として計算されます。
     
  • 育児休業等終了時改定
    育児休業等を終了して職場復帰したときに、休業終了日の翌日の属する月から3ヵ月間の平均給与額で、標準報酬月額を改定できます。

出産育児に関する社会保険制度

つまり、出産前に社会保険料を高くしておくことで、

  • 出産手当金が高くなります。
  • 社会保険料免除期間中は、高い保険料を支払ったとみなして将来の年金や給付に反映されます。
  • 子供が3歳までは、高い厚生年金保険料を支払ったとみなして将来の年金が計算されます。
  • 休業終了4ヵ月目には標準報酬月額を実態に合わせられます。
    休業終了月の翌月から3ヵ月間は高い社会保険料が引かれますが、4ヵ月目から変更になります。

ただし、妊娠時期に一番大事なのはママの健康です。
くれぐれも無理はしなようにしてくださいね。

▼こちらでは産休で得する裏技を紹介しています。

▼出産手当金をお得にもらう裏技を紹介しています。

まとめ

標準報酬月額の計算方法や、その仕組みをお伝えしました。

特殊なケースを除いては、実際に自分で標準報酬月額を計算し、制度を賢く利用するために必要な知識をほぼカバーしました。

出来る限りわかりやすく解説したつもりですが、いかがでしたでしょう^^?

まあ、実務者向けの小難しい内容もあったと思います。

ですが、給与からの社会保険料天引きは、会社を退職するまでずっと続くものです。
一度しっかりと基礎知識を付けておくことは決して無駄になりません。

ただし、健康保険法、厚生年金保険法、育児・介護休業法をはじめとする各種法律は、毎年のように改正されます。

今後、改正があった場合は随時更新していきますので、このページをブックマークやお気に入りに入れておき、あなたが必要になったときに読み返してください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「この部分が分かりにくい」「ここをもっと詳しく説明して」などありましたら、下のコメント欄からご連絡ください。

<更新履歴>
H31.4.1 「標準報酬月額を実際に確認してみよう」を平成30年4月分からの保険料額表にて更新
H30.5.1 「標準報酬月額を実際に確認してみよう」を平成30年4月分からの保険料額表にて更新
H30.4.1 「標準報酬月額を実際に確認してみよう」を平成30年3月分からの保険料額表にて更新
H29.10.1 育児・介護休業法改正 育児休業2歳までの再延長義務化に伴い記事更新
H29.9.1 厚生年金保険料率改定に伴い記事更新
(H16年からの段階的引き上げ終了。一般と坑内員・船員の料率が同じに。)
H28.10.1 厚生年金の標準報酬月額下限(1等級)追加に伴い記事更新

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13件のコメントがあります

  1. ひー

    コメント失礼致します。
    3月30日より産休に入りまして、その前は2ヶ月間切迫早産で入院していました。
    初めて標準報酬月額というものを知り、自分の会社の健康保険組合に問い合わせたところ、18万円と言われました。パートですが、残業代や通勤手当など合わせると、総支給額は20万を下回ったことはありません。
    だいたい22〜25万はあります。
    改定して欲しいと言いましたら、今までの保険料も追加して払ってもらいますよ。と言われましたが、そんなことになるのでしょうか?

    1. MamaGyutte編集部

      こんにちは。
      毎月の社会保険料は標準報酬月額に料率を掛けて求められます。
      したがって、遡って標準報酬月額を改定することとなれば、社会保険料も遡って計算しなおすことになります。

  2. さわこ

    コメント失礼いたします。

    勤め先のお給料は6月昇給なのですが、その場合、標準報酬月額は6~8月分の平均額により決定になりますか?

    また標準報酬月額が決定後、残業により月額料が2等級以上増えた場合は、随時改定の対象になりますか?(固定給の変動なし)

    1. MamaGyutte編集部

      こんにちは。
      随時改定の条件は”固定給が変動し”かつ”3ヵ月の給料平均が2等級以上上がる(下がる)”ことです。
      したがって、固定給に変動がなければ随時改定の対象となりません。
      また、6月昇給の場合6~8月の給料平均が2等級以上上がれば随時改定の対象となり、対象とならなければ4~6月の給料平均で定時決定の計算対象となります。

  3. もも

    記事読ませていただきました。
    もし分かるのであれば回答していただけたら幸いです。
    現在赤ちゃんが4ヶ月で育休中のパパです。
    ママが現在入院中で僕の扶養に入っています。
    高額療養費制度を利用しています。
    育休中は標準報酬月額が育休前を維持できる+社会保険料の支払い免除になる制度だと認識しています。とてもありがたい制度だと思っています。

    しかしひとつ問題があり、標準報酬月額で決定される高額療養費制度の自己負担限度額の所得区分がイとなっています。ここに関しては特例のようなものはないのでしょうか?

    1. MamaGyutte編集部

      ももさん

      コメントありがとうございます。

      高額療養費制度について、世帯合算や多数回該当といった自己負担額がより少なくなる仕組み、また高額・長期間の治療を要する場合の特例はありますが、妊娠中・育児中を要件とする特例はありません。

      なお、健康保険組合によっては「付加給付」として、より低い自己負担額ですむところもあります。
      ももさんが加入されている健康保険にご確認ください。

      奥様が早く健康になられるようお祈りいたします。

      ママギュッテ編集長 足立

  4. くつ大好きさん

    出産手当金
    出産手当金は、支給開始月を含む直近の12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額に休業日数を掛けた金額となります。

    とありますが、各月の標準報酬月額とは、どういう意味でしょうか?
    標準報酬月額は、定時決定により、多分8月中には、年金機構??けんぽ組合??より会社に通知が来て、1年間有効なのではないのでしようか?
    教えてください

    1. MamaGyutte編集部

      くつ大好きさん

      コメントありがとうございます。

      「各月の標準報酬月額」とは、過去12ヵ月間のそれぞれの月の標準報酬月額です。
      その12ヵ月分の平均額を求めます。

      例えば、昨年9月分から今年8月分までの標準報酬月額をA、今年9月分から来年8月分までの標準報酬月額をBとします。

      支給開始月を今年の12月すると、(A×8ヵ月+B×4ヵ月)÷12です。

      https://mamagyutte.jp/syussanteatekin/
      こちらのページ中ごろの「出産手当金の計算例」もご覧ください。

      ママギュッテ編集長 足立

  5. しおり

    とても詳しく説明してくださりありがとうございます。
    理解致しました。

  6. しおり

    コメント失礼いたします。
    分かる範囲でお答えいただけると嬉しいです。
    昨年4月に育休明け復帰し時短勤務中です。
    会社の方針で時給計算による給与になり必然的に給与が下がったため、養育期間標準報酬月額特例申出をし、今は低い標準報酬月額での保険料を支払っています。
    このたび4月から時短を解除し、フルタイム勤務に戻す(=固定給になる)のですが、そうなると前記申出を解除する旨の届出が必然なのでしょうか?
    また、固定給に戻るので今より給与が上がるため定時改定により標準報酬月額も上がると思うのですが、1月に昇給もしましたので随時改定とかぶることになります。この時の2等級上がるか否かの判断のベースとなる等級は今現在の申出により低くなった等級をベースに考えるのでしょうか?それとも、元々の基本給額をベースに考えるのでしょうか?
    よく分からないため教えてください。よろしくお願いします。

    1. MamaGyutte編集部

      しおりさん

      コメントありがとうございます。
      分かる範囲でご回答しますね^^

      「養育期間標準報酬月額特例申出」はお子さんが3歳までの各月の標準報酬月額(等級)が出産前より下がった場合に、、将来の年金額計算時には下がった等級でなく、出産前の等級で計算してくださいという申し出です。
      (毎月の社会保険料は下がった等級で計算されます)

      したがって、この申出によって保険料が下がることは無いです。
      また、出産前の標準報酬月額以上になったとしても解除の申し出は不要です。

      次に保険料が下がったのは「養育期間標準報酬月額特例申出」と同時に「育児休業等終了時改定」をご提出されたからでしょう。
      (もしくは昨年の定時決定?その他のケースも考えられます。)

      今後保険料が変わるのはおっしゃられている通り、定時決定、もしくは随時改定のタイミングとなります。

      基準は今の等級となります。

      1月に昇給があったとのことですので、1月から3月のお給料の平均が「今」の等級より2等級以上上がれば、随時改定の対象となって4月分(5月引き去り)から等級が上がります。

      4月に随時改定に該当したとして、その上がった等級と、今度は4月から6月のお給料の平均と比較し、2等級以上上がっていれば、また随時改定に該当し7月分(8月引き去り)から等級が上がります。
      (4月に給与体系の変更があり固定的賃金の変更があるので2等級以上差があれば随時改定の条件を満たします。4月の給与体系変更に伴い即4月から変更になることはありません。)

      2等級以上の差が無ければ、4月から6月の給与平均で9月分(10月引き去り)からの等級が決まります。(定時決定)

      まとめますと、「養育期間標準報酬月額特例申出」は将来年金額計算時に特例を適用するための申し出であり、今の保険料に影響はありません。
      一方、随時改定は社会保険料の等級を実際の給料額に合わせるための仕組みですので、今の等級を基準として適用が判断されます。

      以上が一般的なご回答となります。
      より詳細については、お勤めの会社のご担当者様にご相談ください。

      しおりさんの参考になれば幸いです。

  7. 元村茂典

    途中入社(8月)させていただきましたが週休2日制度で(祝日休み)で日額105000で
    決定していただきましたが、標準月額給料が 260000で算出されています。
    実際は210000円/月で支払れていますが、今度年金案出で標準月額給料で算出されるとの事ですので大変困っています。標準月額給与を実際いただいている給与にと同じ程度変更できないでしょうか。

    1. MamaGyutte編集部

      元村さん

      こんにちは。コメントありがとうございます。

      実際のお給料が21万円で、標準報酬月額が26万円ですと、通勤手当を考慮しても少し高い気がしますね。

      入社が昨年8月ということですので、その際にどのようにお給料額を想定したかは分かりかねますので、一度ご担当者に相談されてはいかがでしょう。

      なお、標準報酬月額の変更は定められた月、もしくは一定の条件を満たした月のみ可能となります。
      (詳しくは記事をご覧ください)

      また、個別のご質問は種々詳細を把握できないためご回答いたしかねます。
      ご了承ください。